仏事手帳つくりました。
仏事のあれこれについて随時掲載していきます。仏事手帳@は「葬儀あれこれ」です。
仏式の葬儀は宗派によって多少の違いはありますが、おおよそ、下記の「枕経」「通夜」「葬儀・告別式」「初七日忌」の順で行われます。
*都市部では省略することが多いようです。納棺時から僧侶が随伴ことが多いのではないでしょうか。
●枕経とは、亡くなっていく人を仏弟子にして往生してもらうために、臨終を迎えつつある方の枕元で上げるお経のことです。現状では、亡くなったあとお坊さんに読経してもらうことを意味するようになりました。遺体の上にカミソリを置くのは、頭髪を剃り、仏弟子になることから生まれたものです。その受戒のあかしとして戒名が授与されます。
●臨終の瞬間が来そうな時には清らかな水を用意して、綿または筆で当人の唇を潤してあげます。病院で亡くなることの多い今日では、臨終の後に行うことが多くなりました。いわゆる末期(まつご) の水です。お釈迦さまが最期に水を求めたという言い伝えによるものとされています。死者に蘇って欲しいという願いと、死後、のどの渇きに苦しまないようにという心遣いからのようです。
●医師から臨終を告げられ末期の水を終えたら、遺体を清めます。お釈迦さまはその父の死に臨んで、ご遺体を丁寧に扱われました。香汁でお体を洗って、きれいな布に包んで棺に納めました。これが納棺をする前に湯潅(ゆかん) をするしきたりのもとになっています。
●通夜の起源はお釈迦さまが入滅された時、その死を悲しむ弟子たちが、お釈迦さまを 偲んでその教えを夜を通して語り合ったことに由来しています。まさに夜を通して、た だただ悲しむだけでなく、亡くなった人の思い出やその人に対する思い、その人から教 わったこと、影響を受けたことなど、自分の人生の中でのいろいろな関わりを整理し、自分のこころの中にきざむための、大切な時間と言えます。
●通夜での法要ですが、本来は故人のために家族、親族など、身近な人たちの前で僧侶がお経をあげ、冥福を祈るものです。ですから、家族、親族も僧侶と一緒になってお経をあげたり、故人の冥福をともに願うのが自然の姿なのです。そして、故人を想う人が夜通し棺のそばにいて、思い出を静かに思い起こすための夜なのです。しかし、最近では通夜に会葬者がたくさん見えることが多くなり、喪主や家族、親族が僧侶の読経中にも会葬者への挨拶で忙しく、とても故人の冥福を一心に願う余裕さえなくなってきています。
●葬儀とは一般に葬式とも言いますが、正確には葬儀式と言い、亡くなられた方の冥福を 祈り、別れを告げる儀式のことを言います。葬儀も通夜の起源同様、お釈迦さまの両親が亡くなった時と、お釈迦さまが亡くなられた時にさかのぼります。これは、古代インドの理想的な王であった転輪王の葬儀がその原型となりますが、それは遺体を布や綿で体を巻き棺に入れ、香木の上に載せ火葬にし、その後、塔を立て供養するものです。こうした由来に基づき仏教各宗がそれぞれの宗義にあわせて葬儀を行ってきています。
●浄土宗では葬儀の法要は新亡(しんもう=新たに亡なられた人)を極楽浄土に導くための下炬引導(あこいんどう) が中心になっています。下炬とは松明(たいまつ) で火をつける火葬の事で、引導とは新亡を浄土に導くためのものです。ですからこの引導を渡す瞬間が葬儀式での最も大切な時となります。この瞬間を遺族、親族で迎え、葬儀式が終わります。この引導を渡したあと焼香になります。区別するとしたらここからが告別式といえるでしょう。
●会葬者の人数や葬儀社によってはお経が始まるとともに焼香を始めることがありますが、本来は、葬儀と告別式は別のもので、葬儀はあくまで故人のためのものであり、遺族や親族が故人の冥福を祈り、別れを告げるためのものです。告別式とは、故人の友人、知人が最後の別れをする儀式で、本来葬儀に引き続き会葬者全員で遺骨を墓地に埋葬する前に行なう儀式です。最近では、一般の会葬者が火葬場まで行くことがないため、告別式は焼香を中心に行なわれるようになり葬儀と告別式を同時に行なうことが多くなっています。
●告別式を終えるといよいよ出棺となりますが、その前に会葬者へのお礼を喪主が述べることがあります。告別式が終わると故人を荼毘(だび) に付します。荼毘に付すとは火葬することです。そして火葬がおわって骨を拾うことを収骨といい、その勤めを灰葬といいます。火葬場の状況によって、先に火葬と言うことも多々あります。
●浄土宗の念仏の教えでは、誰もが亡くなればすぐ浄土に往生し仏のみもとにいけるといわれていますが、仏教の民間信仰では、日本の仏教には中国から伝わった、死者を弔い祖先を大切にする伝統習慣が色濃く残っています。
●よく初七日とか、三十五日、四十九日といいますが、この期間は残された遺族が亡き人への想いを深め故人の安寧を願い、また、惜別の寂しさを少しずつ和らげていくための大切な期間です。初七日の法要は、葬儀に一区切りつけるという意味でも重要で、最近では葬儀の後に還骨回向とあわせて行われることも多くなりました。二七日、三七日、四七日は身内だけですませることが多いですが、五七日または七七日(四十九日)には親族が集まって法要を行います。四十九日に納骨をすることが多く、納骨法要も行います。
●納骨を終えると、お骨が家からお墓に移り一段落です。それまでの白木の位牌が塗りの位牌になり、お骨の代わりに仏壇にお位牌が一つふえることになります。
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住職 酒井還成
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